医院のマネジメントを行う上で、
千田琢哉 氏「社長!この直言が聴けますか?」 (日本実業出版社)からの学びを活かそう!

※千田氏HP
http://www.senda-takuya.com/

 

これは、書評ではありません。
ビジネス書の中から良書を選んで、
「現実の、医院マネジメントに活かすには何をすればいいのか?」

の私の考察を述べた記事です。

 

1、書かれている内容を一言に凝縮すれば?

私の考察だと、この一言に尽きます。

「現実を直視しろ!幻想に逃げるな」

 

2、顧客満足を謳いながら、行動が伴っていない

このような内容が書かれています。

「顧客の幸せこそが、我々の幸せです」
こんなことを言っている企業の実態は、
社内の幹部会議では、予算の詰めばかりをやっており、
顧客の「こ」の字も出てこない。

確かに医院でも、
どこかの会社や医院からのパクリを合体させたような、
立派な経営理念を掲げているが、
院長自身が、その言葉どおり実行できていなく、
スタッフがシラけていることは少なくないですね。

スタッフの方は、内心こう思っています。

「確かに言っていることは正しいが、院長が一番できていない・・・」

また、実際の「状態」でも言行不一致を表していることもあります。
例えば、
「患者様の満足が、我々の一番の喜び」
と謳いながら、
いざカウンセリングルームに入ってみると、
患者様用のイスより、カウンセラーのイスの方が高級だったり・・・

これは、私が患者としても経験済みです。
別に怒りはしませんが、決して、嬉しい気持ちにはならなかったものです。

患者様というのは、けっこう、医院の隅々まで目を配らせているものですよね。
イスに限らず、根本的な考え方として、
患者様第一なのであれば、このような状態には至らなかったはずですが・・・


<行動>
基本的な考え方として、
自分たちよりも、患者様が利用されるモノからお金の投資をしていく

 

3、昇格を決める際の基準

このような内容が書かれています。

活気があり変化対応力がある組織というのは、
社長が人事にの際に必ずしも自分が扱いやすいとはいえない人材も
幹部に配置していることが多い

私も医院のコンサルに入って、
最初、疑問に感じる時があります。

「スタッフの皆さん、素直ではあるんだけど、なんか違和感がある」
「なんか、似たタイプのスタッフさんが多いな・・・??」

個別面談で、新しい人からキャリアの長い人まで、
よくよく話を聴いていくと、

結局は院長が、
自分を絶賛してくれる人ばかりを重宝して、
患者様のため、医院のためにプラスの発言ではあるが、
院長にとって耳が痛いことを言うスタッフを
あからさまに嫌うことがあるという話。

要するに、YESウーマンが多いということですね。

もちろん、その発言者の主観なので、
事実確認をするまでは、100%真に受けることはしません。
ですが、私が優秀と感じる人ほど、下記のようなことをコソッと教えてくれることが幾度かありました。

「飲み会で、おべっかを使う先輩が多く、また院長もまんざらでもない
嬉しそうな顔をしているんですよ。明らかなヨイショなのに・・・」

このような次元の、院長の好き嫌いを、
人事面にまで反映されると辛い。

そんな人事制度がバカらしくなって、優秀な人が愛想を尽かして、
医院を去っていく事態は、本当に悲しいものです。


<行動>

院長は、早い段階で『自己愛』と決着をつけましょう。
「院長すごいですね」を欲しがらず、
その発言は、伝える側に徹すると、組織が円滑になります。

正しい、けど耳が痛い進言こそ価値があることを肝に銘じる。
最初はツライですけどね。

 

4、ダメな組織の、ある特徴

このような内容が書かれています。

入社歴が長いだけで活躍できていない先輩社員が組織の中で影響力が強い会社というのは
活気がなく変化対応力も弱い。
補欠の先輩はがん細胞だ!

千田琢哉氏が、多くの著書で述べている、
千田琢哉氏の代名詞とも言える、
『補欠の先輩』

どこの医院にも一人くらいは生息していないでしょうか?
社歴が長いだけで、役職に就いているが、
仕事はサボりがちだし、マイナス発言ばかりをする。
けど、狭い世界のボスではあるから、
誰も何も言えない。
女性のスタッフの場合は特に。

こうも書いています。

補欠の先輩は、自分が補欠であることに気づいておらず、
むしろ優秀だと誤解している人が多い。
鋭い指摘をする自分はけっこうイケているとさえ思っているものだ。

私のコンサル経験談でいうと、
この『補欠の先輩』は確かに存在します。
私の感触だと、看護師や歯科衛生士といった、
有資格者に多い傾向がある印象です。

常に自分が正しいと思っていて、
他人のやることや提案に対しては、
「いかにダメか」のマイナス面の主張ばかりして、
良い面を見ようとしない。
ダメな指摘はするのだが、代案を出すわけでもない。

これの解決は一朝一夕にできるものでもありません。
本人の自己愛や、過去が絡んでいることが多いからです。
時間をかけて、辛抱強く、適切な対応をすれば、
ある程度の解決もできるのだが、
まずすべきことは、
「何に対しても文句を言うことが多い」と感じる人に、
役職(権限)を与えないことが重要ですね。
それがスタート。

間違っても
・患者様ウケはいい
・院長の前だけは態度がいい
・診療業務の腕だけはいい

これらの理由だけで昇格させるのは、組織運営として長期的には、
かなり危険な行為と言っていいです。


<行動>

長いこと働いてくれているから。
という、なんとなくの理由だけで人事を決めてしまうと、
優秀な人材ほど、組織のレベルに愛想を尽かし、とっとと他の医院に行ってしまう。
変な人に権限は与えない。
『朱に交われば朱くなる』
最初は優秀だった人材も、変な上司に染まることは多い・・・

 

5、まとめ

・組織を強化していく上での、最初のスタートは「現実を把握すること」
・院長が、従業員になにか高尚なことを伝える際は、まずは自分が100%できているかを確認してから。
自分ができていないなら、何も言わない方がまだマシ
・自分にとって耳が痛いことも、受け容れる『器』が大事
・ヘッポコ人材には、絶対に役職をつけない

 

※千田琢哉 氏「社長!この直言が聴けますか?」 を医院マネジメントに活用する②へ続く